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− マスコミが報道した「ルテイン」 −
【 わかさ 2001.12より抜粋 】
ルテインは偏食・喫煙・加齢で不足し、
補給には油で炒めたホウレンソウが最適 |
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ホウレンソウに断然多いルテイン
カロチノイド(植物の色素成分)の1種であるルテインは、体内に吸収されるとそのほとんどが目の網膜と水晶体に蓄積されます。
目に蓄積されたルテインは、活性酸素(攻撃性の高い酸素)の発生原因となる紫外線や可視光線のうち青白色の部分を吸収して、眼球内の組織を保護します。さらに、強い抗酸化力を発揮して、水晶体や網膜の酸化を抑えます。
この2段階の働きによって、酸化が原因となる目の病気、視力の低下、眼精疲労など、あらゆる目のトラブルを予防し、目の健康を守ります。
こうしたルテインの薬効は、欧米を中心に、10年以上前から盛んに進められてきた基礎実験や疫学研究(疫学とは、病気の原因などを統計的に明らかにする学問)によって、次々と裏づけられるようになりました。
では、私たちは日常生活の中でルテインをいかにして補うようにすればいいのでしょうか。ルテインは、緑黄色野菜に多く含まれています。特に多いのがホウレンソウで、よく食べる習慣のある人ほど白内障などの病気にかかる割合が低いことが報告されています。
表にあるように、ホウレンソウ100g中に含まれるルテインの量は10.2mg。カロチノイドが多いことで知られるブロッコリー、葉レタス、芽キャベツ、カボチャなどの野菜や豆類と比べても、その差は歴然です。
このほか、キャベツの原種で、青汁の材料として知られるケールにもルテインは多く含まれています。
含有量はホウレンソウの2倍以上に相当しますが、苦味が強くて食材には適さないため、スーパーなどの店頭にはほとんど出回っていません。もっぱら、ジュースとして販売されています。
ルテインを多く含む野菜 |
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そこで、ルテインを日常の食生活で手軽に補うためには、ホウレンソウが最適といえるでしょう。また、ホウレンソウで補うことの利点として、油料理に用いやすいことがあげられます。
ルテインは、脂溶性成分(油に溶けやすい成分)であるため、油といっしょにとると、体内への吸収効果が高まります。つまり、油を用いた調理法で食べるか、油を含む食品といっしょに食べるかしないと、ルテインの吸収率は低下してしまうのです。
ホウレンソウは、簡単にできる油炒めにしてとるといいでしょう。
現代人の生活習慣がルテイン不足を招く
いずれにせよ、ルテインは体内では作ることができないので、主に緑黄色野菜から習慣的に補給しなければなりません。そこで見直したいのが、伝統的な日本の食習慣です。
かつての日本人は、穀類・野菜・豆類・魚介類・海藻など、いろいろな食品からバランスよく栄養を取り入れていました。ところがここ30年ほどで、肉類や乳製品などの高脂肪食を中心とした欧米型の食生活がすっかり定着し、伝統的な日本食離れが進んでいるといわれます。
現代人に肥満や生活習慣病が蔓延しているのは、野菜不足や脂肪のとりすぎといった栄養の偏りが大きく影響していると考えられていますが、これは目についても全く同じです。
さらに、以上のようなルテインの摂取不足が見られる一方、現代人にはルテインの不足を招く生活習慣も目立ちます。それは、喫煙・運動不足・過労・ストレスなどの弊害です。
これらの生活習慣は、肝臓の働きを著しく低下させ、脂肪の消化吸収を助ける胆汁酸の分泌量を減らします。その結果、脂質といっしょに吸収されるルテインの吸収率が低下してしまうのです。
しかも肝臓は、食べ物から摂取したルテインをいったん貯蔵して、利用できる形に作り替える臓器です。つまり、肝機能の低下は、2つの理由で不足を招いてしまうわけです。
次に喫煙やストレスは、体内の酸化を促す活性酸素の生成を大幅に増やすことがわかっています。活性酸素が大量発生すれば、そのぶん目の中のルテインも大量に消費されることになり、結果的に不足を招いています。
ルテインの体内での貯蔵能力は年を取るほど衰えますが、若い人でも以上のような生活習慣がある場合は、慢性的に不足している恐れがあるといえるでしょう。
1日にホウレンソウ3分の1束で補える
欧米での研究によると、ルテインの推奨摂取量(予防効果が期待できる摂取量)は1日6mgとされています。これは、ホウレンソウ60g(約3分の1束)の含有量に相当します。
先ほども述べたように、緑黄色野菜でとる場合、酸化されにくいオリーブ油などで炒めたり、肉料理や魚料理といっしょに食べたりすると、効率よく摂取することができます。
ホウレンソウを日常的に食べることで、それ以外のカロチノイドや、各種のビタミン、ミネラル(無機栄養素)、食物繊維など、現代人に不足しがちな栄養をバランスよくとり入れることができるでしょう。
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